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漢方薬が新型コロナウイルスに有効「発熱緩和・重症化抑制の可能性」 東北大学の研究
11月28日、東北大学は「新型コロナウイルスの急性期症状に対して、漢方薬が発熱緩和や重症化抑制に有効である可能性を2つの研究で明らかにした」と発表しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
東北大学が発表した研究内容とは?
編集部:
東北大学が発表した研究内容について教えてください。
中路先生:
11月28日、東北大学は「新型コロナウイルスの急性期症状に対して、漢方薬が発熱緩和や重症化抑制に有効である可能性が2つの研究によって示された」と発表しました。
1つ目の研究は、2020年1月1日~2021年10月31日に全国23の医療機関より実施された治療に関するデータや、一般的な感冒様症状の変化に関するデータをカルテから収集して観察研究を実施しました。
合計1314例が登録され、そのうち962人の患者データが解析されました。解析対象者のうち528人が漢方薬を含んだ対症療法を実施、434人が漢方薬を含まない対症療法を受けていました。
新型コロナウイルスと確定された症例に限定して、ステロイド投与を受けずに発症から4日以内に治療を開始した症例で統計解析をおこなったところ、呼吸不全への悪化のリスクが漢方を使わなかったグループと比べて、漢方を使ったグループで有意に低い結果となりました。
なお、使用頻度が多かった漢方薬は、「葛根湯(カッコントウ)」と「小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)」の併用でした。
2つ目の研究では、新型コロナウイルス急性期症状に対する葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の追加投与の効果と安全性を検証しました。
軽度および中等度の新型コロナウイルス患者を、通常治療をおこなうグループと漢方薬の葛根湯エキス顆粒と小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒を1日3回、14日間投与するグループにランダムに割り付け、その効果を比較検討しました。
その結果、漢方薬の葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の投与によって発熱症状が早期に緩和され、中等症Ⅰ患者は漢方薬投与で呼吸不全への悪化が抑制傾向にあったことが示されました。
この2つの研究結果から東北大学は、「新型コロナウイルス急性期治療において漢方薬は安全に使用できて、発熱緩和および重症化抑制に貢献できる可能性が示された」と発表のポイントを説明しています。